2009年03月07日
文部科学大臣 塩谷
立 殿
平成20年12月1日
NPO法人
全国いじめ被害者の会
学校でのいじめに関する要望書
現在、多くの子どもたちが学校で、いじめに遭い苦しんでいます。私たちNPO法人全国いじめ被害者の会は、これまで2年間で全国の各地から3,500件余りの、いじめに関する相談を受けています。しかし、そのほとんどの場合、学校は子どもや保護者の悲痛な訴えを無視し、いじめは無かったと言っています。そして、子どもは死ぬほど苦しんでいるのに、ただのケンカやトラブルであったと処理し、いじめによる自殺者まで発生していながら、教育機関は子どもの深刻な苦しみにみ耳を傾けようとしないため、被害者からは、憤りの叫びが上がっています。
北海道の北広島市でこのような事件がありました。ある中学生が勇気をもって級友のいじめを担任に訴えたにも関わらず、その担任と学校はいじめを放置し、結局はいじめの事実を隠蔽し、その中学生は転校を余儀なくされました。この事件が起きた市の教育長に、全国いじめ被害者の会の理事長が同席し、いじめについてきちんと調査することを要求したところ教育長は「調査はできませせん。しません」と答えました。
全国から2年間に3,500件余りの相談があったという事例から推定して、私たちの組織も知らず相談相手も無く苦しんでいる被害者が、全国でどのくらいいることか、想像に難しくありません。
なぜ、こうしたことが改まらないのか。その大きな原因に、「子どもを預かっている学校では、何よりも、子どもの命と人権を最優先しなければならない」という、学校の根本的なあり方についての関係者の認識の不足があることは否めません。
私たちはその認識の形成を、教育委員会ならびに学校、教員の「安全配慮義務」の徹底として求めてきました。その必要性は司法の場でも確認されていることです。そして、私たちの要望に応じて、文部科学省は平成18年11月6日に「児童生徒課」の名で「学校における教育活動及びこれに密接に関連する生徒関係における生徒の安全確保について」の文書を都道府県教育長等に配布しています。
その後、私たちは平成19年3月16日から5月1日まで千葉県を皮切りに全国47都道府県の教育委員会をまわり、いじめ防止のため「安全配慮義務」の徹底を申し入れました。
ところが、、対応した教育長をはじめ教育委員会の職員のほとんどが、この文部科学省の「安全配慮義務の徹底」に関する文書の存在を知らず、「安全配慮義務」とは何なのかも知りませんでした。
現在、日本の各地で行われている、いじめによる裁判の判決は、すべてのいじめの発生は、「安全配慮義務を怠ったことにより起こされたものであり、早急にいじめた生徒に措置をとれば、児童、生徒の生命及び健康の被害の発生を防止することができた・・・」としています。 国はこのような教育現場の実態を真摯にとらえ、閉鎖的な教育機関の態度を変革させ、親が子どもを安心して学校に預けられるように、いじめの無い教育環境作りの改善を図るよう以下の点を強く要望します。
一、「子どもを守るべき学校、教職員の認識や対応に問題がある例」(文部科学省局長通知「いじめの問題への取り組みの徹底について(通知)」平成18年10月19日)の通知を出したにもかかわらず、『いじめを無かったことにする』『いじめの訴えがあっても放置する』などの実態が多くあることに留意し、その実態について、文部科学大臣が被害者の子どもや保護者などの声を直接聞く場をもうけること。
一、教育行政機関並びに学校、教職員の「安全配慮義務」について、その重要性に鑑み、周知徹底を図ること。教育振興基本計画に「安全配慮義務」の周知徹底を盛り込むこと。通達文書その他で「安全配慮義務」を位置づけて徹底を図ること。
文部科学省のホームページなどでも「安全配慮義務」の重要性が理解できるようにすること。
以上